Barbie

日々

今日は朝イチで映画「バービー(Barbie)」を観に行く。
めちゃくちゃ、よかった。可愛いドールの世界に浸りたくて観に行った映画で、私は打ちのめされた。

幼少期、着せ替え人形が大好きだった私は、バービーよりリカちゃん派。市販の着せ替えパーツは高価だったので、洋服や持ち物は母と祖母が手作りしてくれていた。ある日、祖母にリカちゃんが寝るベッドと布団を作ってほしいと頼んだら、赤い着物の生地で作った超和風の布団セットが出来上がり、そこに寝るリカちゃんは吉原炎上みたいになってしまったので、私は子供心にこの布団に寝させるのはあまりよろしくない、と思って祖母作の布団をこっそり箪笥の奥にしまった。

着せ替え遊びにマンネリを感じ始めた私は、リカちゃんの髪の毛をバッサリ切ってショートカットに大変身させ、一向に髪の毛が伸びてこないことにショックを受け大泣きした。私のリカちゃんの後半生は、ザンバラ頭だった。リカちゃんに詫びたい。
・・・というのが、私とリカちゃんの思い出だ。バービーではない。

さて、こちらの映画「Barbie」。世界観がすごい。バービーランドでバービーたちが夢のような生活を送るシーンは、キャラクターや舞台セット、洋服のデザイン、カメラワークなどクオリティの高さに圧倒された。ド派手なピンクがめちゃくちゃかわいい。ボーイフレンドのケンもなかなかのクオリティ。

お気楽に観れるラブコメだと思って行ったら、ストーリーの奥深さに驚いた。最初はクスクス笑いながら観ていたが、後半、グロリアが、男社会に合わせて矛盾を生きなければならない女性の辛さを語るシーンでは大号泣。スタンディング・オベーションしたい気分だった。アメリカの女性の社会進出や、経済的地位向上を目指すことへの積極的なアプローチは日本の比にならないほど進んでいると思っていたが、実際はそうでもないのだろう。まして日本においてはなおさらだ。

バービーは見た目が醜くなることが怖くて人間の世界に行ったけど、そこでおばあちゃんを見て、変わることの美しさを知る。あのシーンはとても素敵だと思ったし、私も年を重ねることや変化を楽しめる人間になりたいと思った。

ポップでキュートなバービー人形の世界を200%のクオリティで再現しただけでも最高。さらに女性の自立の難しさや、男性への固定観念やプレッシャー(男性も生きづらそう)、人の存在意義など深い問題にまで切り込んだ傑作だと思う。ラストもすごく良かった。バービーからパワーをもらえたいい良い1日だった。