福祉の世界にかかわること

思うこと

目が回るような一週間が過ぎて、10月も終わろうとしている。早すぎる。もうすぐ年が明けてしまう。

夏頃から少しずつ準備をしていた、障がい者アートに関わる仕事が本格的に決まり、先週、社会福祉法人の施設を尋ねる機会があった。

これまでほとんど縁がなかった福祉の世界。私はまだ入り口にも立てていないが、その奥深さを少しだけ垣間見た気がしている。社会的弱者といわれる人は、決して不幸ではない。可哀そうとか怖いとか迷惑とか、いろいろな見方がされるのは残念だが、コントロールできない部分でもある。人は知らないことは怖いのだ。自分の理解を超えるものからは目を逸らしてしまう。私もそうだった。縁あって、こういったお仕事と関わらせていただいて、たくさんの学びを得た。誰かの弱さは誰かの強さを引き出すのだと知った。

私は今の仕事にほとほと疲れていた。昔はいろんな人と関わってクリエイティブを作り上げることが面白いと思えていたし、ワクワクすることがたくさんあった。「ああ、我ながらいい仕事をしたなあ」と思えることもあった。しかし、年次があがり立場も変わり、会社の状況や方針が変わり、生産性をあげること、納期に間に合わせること、売上をあげること、利益を確保することに重きを置かざるを得ないようになると、必然的に、飛んできた球を打ち返すだけになってきた。どっちに飛ぶかは知ったこっちゃない。とにかく打席に立ってバットをブンブン振る、もしくは、他のメンバーにバットを振れと指示をするだけ。中には「コレ、ほんとに必要ですか?」と聞きたくなるような、予算消化的な仕事も往々にしてある。あれ?私、何のために打席に立ってるんだっけ?どこを目指して試合に出てるんだっけ?納品して終わりの仕事にほとほと疲れていた。

そんな中で社会福祉法人の方たちと出会い、私の提案を心から喜んでくれる姿を見て、私はこの人たちとちゃんといい仕事をして、感謝されるような結果を出そうと思った。印刷の仕事がどこまで地域に、社会に貢献できるのだろう。今から始めようとしていることは、本当に小さな循環だけれど、いつか大きな輪になればうれしい。まずは一歩ずつ。